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日向徹（小栗旬）は、IT企業「ネクスト・イノベーション」の若手社長。

大学時代に友人の朝比奈恒介（井浦新）と立ち上げたネクスト・イノベーションは、今や時価総額3000億円のIT企業に成長していました。

その日も、日向は副社長になった朝比奈と、取締役の山下芳行（佐野史郎）と共に、国が新しく導入しようといている個性管理システムを一元管理するプロジェクトについて会議をしています。

国が着手する前に自分たちが先に「パーソナルファイル」としてそのシステムを作るという日向に、リスクが大きすぎると難色を示す山下。

その山下を、面白い仕事をさせてあげると約束した、と朝比奈が説得すると、山下も苦笑いで承諾します。

このように順風満帆のネクスト・イノベーションと社長の日向ですが、日向は心因性認識不全症候群といい、人の名前を覚えられない病気を抱えていました。

そんな日向ですが、夜自宅で1人になると、インターネットで「澤木千尋」という名前を検索していました。

東京大学理学部4年生の澤木千尋（石原さとみ）は、いまだに内定が1つももらえていないことに頭を抱えていました。

ある日、千尋はネクスト・イノベーションの会社説明会がこれから行われることを知り、参加することにします。

ネクスト・イノベーションの会社説明会の会場では、社長の日向が学生にネクスト・イノベーションを志望した理由を聞いています。

次に日向は、千尋にいくつ内定をもらっているか尋ねてきました。

千尋が東大理学部なのに、まだ1つも内定をもらっていないことを知ると、日向はネクスト・イノベーションにエントリーできる学生は内定を2社以上もらっている人物だけ、と学生を振るいにかけ始めます。

日向は、他社での面接で勝ち抜いた優秀な学生を選ぶために、わざと遅い時期に会社説明会を開いていたのです。

条件に該当しない学生が、文句をいいながら会場を去っていく中、千尋はネクスト・イノベーションの社歴や業績を暗唱し始めます。ネクスト・イノベーションに入社したくて、隅々まで調べたと食い下がる千尋。

日向が、少しバカにしたように千尋を「理学部さん」と呼び、記憶力と反骨心をほめると、千尋は自分の名前は理学部さんではなく、澤木千尋だと告げます。

すると、日向はその名前に一瞬凍り付いたように手を止め、そして名前だけは覚えておこう、告げて去っていきました。その夜。

日向は、「パーソナルファイル」のプロジェクトについて、朝比奈、山下と共に再び会議をしていました。

プロジェクトの第一関門となる総務省の事務次官・藤川真沙子（大地真央）と、以前、揉めたことがある日向は、渡されている分厚い資料を前に頭を抱えていました。

その時ふと、日向は、その日会った澤木千尋が藤川と同じタイプの女性であることを気付くと、千尋に仕事を依頼することを思いつきます。

翌日、ネクスト・イノベーションに呼ばれた千尋は、社長室に通されます。

日向が、千尋の名前を憶えていることに驚く社員たち。日向は千尋に分厚い資料を渡すと、1日で覚え、明日会う藤川に気に入られるように命じます。

翌日、徹夜で資料を完璧に暗記してきた千尋、日向が本当に覚えてきたかと確認すると、偏差値75を舐めないでくださいと自信顔。

すると、日向は、千尋を自分が選んだ高級ブランド店に連れていき、着飾らせます。そして、日向は朝比奈と千尋を連れ、藤川との会食に出向きました。

会食の場で、千尋が丸暗記した資料をもとにプロジェクトの意義について述べると、藤川も話しができる人が出てきたと千尋を気に入り、局長を部屋に呼び入れます。

心因性認識不全症候群のため局長の名前が思い出せない日向に、千尋は局長の名前や先日の会合であったことを耳打ちします。

千尋の機転で事なきを得た日向、藤川にも気に入られ、すっかり和んだ雰囲気に気をよくした千尋は、自分たちのプロジェクトが実現すれば、年金記録が消えることもなくなる、と口にします。

ところが、かつて社会保険庁に身をおいていた藤川は、それには自分にも責任があると、ひきつった笑顔に。

会合が終わると、日向は会社をつぶす気か、と、千尋に怒りをぶつけ、早々に部屋を出て行ってしまいました。

しばらく車を走らせた日向は、千尋の仕事ぶりを思い出し、少しは褒めておこうと引き返します。その頃、落ち込む千尋を、朝比奈がよくやったと声をかけて食事に誘い、千尋を車に乗せていました。

朝比奈が千尋を車に乗せている様子を目にした日向は、声をかけずに再び車を走らせて去ってしまいます。一方、車を走らせていた朝比奈は、ふと車を止めると、千尋に尋ねました。

「君は誰なんだ。君は澤木千尋ではない。偽名だね。」

そして、日向がなぜその名前にこだわるのか、そして千尋がなぜ「澤木千尋」の名前を知っているのかと詰め寄るのでした。